飛行機に乗り込むと、とりあえず読みかけの横山秀夫『動機』を読み進める。途中、何かと「ぐっ」とくる。
警察関係の短編集なのだけれども、そのうちの一つ、県警記者クラブに出入りする、地方紙の女性記者の話にぐっとくる…。男社会の中で頑張っている女性記者なのだけれども、全国紙に引き抜かれそうになるクダリがあり、その時の彼女の感情が、以前一度会社を本当にやめて転職しようかと思った時の自分の感情に似ていて、考えさせられる。結局は残るのだけれども、その残り方もまた…。
その次は、同じく横山秀夫の『顔-FACE-』を読む。これまた、警察という男社会の中で懸命に生きる婦警さんの話で、これまた考えさせられた。私の仕事は、おそらく婦警さんほど女性差別されることもないが、共感できる部分は多々あり。帰ったら、本質的に仕事を頑張ろうと思った。「ちゃんとやる」。とりあえずはそれが大事なんではないかと。その中で、「自分にしかできない」ことをちゃんと確立していこう、と思った。
さて、機内食をいただいて、2時間くらい寝る。
その後、デカプリオが悲願のアカデミー賞を受賞した「レヴェナント」を観る。うーん、あまりに暗いストーリー展開に、ちょっと沈み始める。少なくとも「娯楽」として観る映画ではないかな…。
映画を観終わって、約1時間くらい寝ると、ついにパリに着陸2時間前に。最後の機内食を頼むも、目当てのものは売り切れ…ということで、ちょっと残念。やっぱりマイレージでビジネスクラスを買ってる客は、優先度低いのかしら、とか勘ぐっちゃう。
そうこうしているうちに、「翼よ、あれがパリの灯だ」状態に。
そして、パリに着陸。
なんどきても、たとえ単なるトランジットだとしても、心躍るパリ。
今回、シャルル・ド・ゴール空港から、オルリー空港に、バスで移動することに。これまで何度かお世話になった、空港からオペラ座に行くバスとも近いバス停。20分おきに来ます、とかいう表示もなんのその、結局40分くらい待たされる。先頭に、AFのパイロットと思われるロマンスグレーが並んでいた。
さて、やっとバスが来たけれども、このバスが良かった。何が良いって、これまではオペラ座とか、パリの旧市街中心部に向かうバスしか乗ったことがなかったが、このバスはいわゆる成田と羽田を結ぶバスのようなもの。およそ観光地とは関係ない、普段着のパリが見られるので、楽しかった。
当然ながら、凱旋門やエッフェル塔ばかりが、今日のパリではない。東京と同じような近代的なビルや、雑然としたビルも立ちならぶ。映画館のあるショッピングモールがあったかと思えば、川沿いの工場も。どことなく「川崎」を連想させる地域もあった。「パリの川崎」。
金曜日の夕刻のせいか、ハイウェイも混んでおり、パリの人々の「日常」を感じられる瞬間であった。
およそ1時間20分ほどでオルリー空港に到着。本日はオルリーのヒルトンを予約してある。事前に地図で見たところ、空港のターミナルからはターミナルからは600m程度の距離だったので、歩こうかとも思ったが、バスから見る限り、歩いている人もいないし、そもそも歩道がない。こうなったら最悪タクシーでもいいから乗らないと、車にはねられて死ぬかもしれない…。そう思った。
ターミナルで降りて、タクシー乗り場のおじさんい「Hiltonオルリーに行きたい」と告げると、さすがに近すぎていやなのか、「そこの5番乗り場から、シャトルが出るよ」と教えてくれた。ご親切に。
というわけで、5番乗り場に行ってみたが、どう考えても、6番乗り場の間違いだった。
まぁ、それはいいとして。
6番乗り場には先客がいた。インド系?とも思われる男性と、ヨーロッパ系?と推測される女性とのカップルだ。身なりもきちんとしている。突如、男性が私に待合ゾーンのベンチの席を譲ってくれた。ありがたい。カップルの会話を聞いていると、英語でもない、フランス語でもない、ドイツ語でもない言語。さらに聞き耳を立てていると、スペイン語でもイタリア語でもないが、スペイン語っぽくも聞こえる。後から考えると、これはポルトガル語なんじゃないだろうか。(何故ならば、このカップルとは翌日、リスボン行きの飛行機でも遭遇)
この旅で、ポルトガル語に出会った第一号である。
オルリーのHiltonは、Hiltonといえども、古いホテルで、田舎のビジネスホテル、といった趣。でも、部屋をアップグレードしてくれたらしい。悠々とスーツケースを広げる余裕のあるダブルルームだった。案の定シャワーの出が悪買ったが、広い部屋で快適ではあった。
とにかく眠いので、シャワーを浴びて、20時半には眠ってしまう。明日は4時起き。
致し方あるまい。
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